ツインテールの魔法
それはパソコンで書かれたものだ。
「脅迫状だ……」
夏音の呟きに素早く反応した蒼羽が、机に置かれた紙を取った。
「警察には!?」
「行ったよ。でもなにもされてない、される前だから対応出来ないってさ」
「なんだよそれ!なにかあってからじゃ……!」
すると、空奈は蒼羽額を突いた。
「落ち着きな」
蒼羽は口を噤むが、落ち着いてはいられなかった。
「ごめんね、本当はただ会ってみたかっただけで、こんな話をするために呼んだんじゃないんだけど……」
空奈は蒼羽の手から脅迫状を抜く。
よく見ると、脅迫状を持った手が震えている。
このような文を見て、怖くならない人などそういないだろう。
夏音はその震える手に自分の手を重ねた。
「ノンも、紘くんもいる。蒼羽くんだって。みんなで空奈さんを守るです」
それは一人で抱え込み、救いの手を差し伸べてもらった夏音だからこそ出てきた言葉だった。
すると気が緩んだのか、頬に一筋の涙が流れた。
「ありがとう……」
初めて見る姉の涙に、蒼羽は戸惑いが隠せない。
「……それで、これが誰から送られてきたのか、わかるです?」
空奈は首を振る。
その答えはだいたい予想がついていたため、夏音は冷静なままだ。