ツインテールの魔法
「ファンか仲間……どちらかは?」
「それもわからない。一昨日、いつの間にか鞄に入ってたから……」
夏音の言うファンか仲間、どちらかさえわかれば、どこに焦点を置けばいいのかがわかるということだったが、それさえもわからず、要は手詰まりだ。
「鞄なら仲間じゃないの?」
「ファンからのプレゼントも鞄に入れてたの」
蒼羽の追い打ちで、本当に手がかりがないことがわかってしまった。
「この来週のステージってのは?」
「……今日の夜」
逃げるかのような言い方だった。
「はあ!?なんで早く言わなかったんだよ!」
蒼羽は怒りをあらわにし、空奈の肩を掴む。
言葉にはしなかったが、夏音も同じように思っていた。
しかし空奈は蒼羽の手を払い、言い返す。
「弟に頼れって言うの!?年下のあんたに!?」
泣き叫ぶような主張が、夏音はわかるような気がした。
だが蒼羽はそれを受け入れない。
「ああ、そうだよ!くだらないプライドで命捨てる気!?」
「くだらない……」
「くだらないでしょ。頼りたくないってだけで、叶えたい、叶えられる夢を諦めるの?」
空奈は俯くと、自然とその場は静寂に支配される。
「……け、て……助けて……」