ツインテールの魔法

2


会場には歩いて向かう。
空奈が夏音の髪で遊び、失敗したせいで、夏音は髪を下ろしていた。


「そういえば夏音ちゃん、リラ情報ってどうやって入手してたの?」
「紘くんに集めてもらってたの」


家での会話の間に、空奈は敬語を使わなくていいと言った。
といっても、不自然な敬語を聞いていられなくて、やめてもらったと言うほうが正しいのかもしれない。


「じゃあ君は私の本名を知ってたわけだ」


空奈は蒼羽と並んで後ろを歩く紘を見た。
続けて夏音も紘を見る。


「そうなの!?」


夏音が聞いても、紘は目を逸らすだけだった。


「わざと言ってなかったりして」


蒼羽が呟いた瞬間、紘は蒼羽を思いっきり睨んだ。
だが、蒼羽は怯むどころか悪い顔をした。


「図星かよ」


蒼羽の笑い声に苛立ちが増すが、あまり下手なことは言えなかった。


「なに話してるの?」


無邪気に聞いてくる夏音に、紘は説明ができない。


「紘の器が小さいって話」


黙っている間に蒼羽が勝手なことを言った。
紘はもうどうでもいいと言わんばかりにため息をつく。


「紘くんはそんなことないよ?」
「いやー、ノンちゃんが知らない一面もあるんだって」
「ノンが知らない紘くん……?」
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