ツインテールの魔法
正論だった。
反論の余地もない。
「あいつに聞けば……」
「ノン、あの先生のとこ行きたくない」
夏音もそうだが、提案した本人である蒼羽も、行きたくなかった。
話を聞いてもらえる気がしない。
そもそも、蒼羽を犯人だと決めつけている時点で、話が通じるとは思えない。
「やっほー」
沈黙に包まれたと同時に、元気よくドアが開いた。
入ってきたのは、ミステリー研究部の部長、橘朱里。
胸くらいまであるであろう黒髪をポニーテールにし、赤紫の縁のメガネをかけている。
長身で、スラッとした体型。
部活でもクラスでも、頼りがいのある姉的存在である。
「あれ、どうした?なんか暗くない?」
朱里は机にスクールバッグを置き、三人の顔を見る。
紘はいつも通りの無表情だが、夏音が酷く落ち込んでいるように見える。
そのせいか、蒼羽も暗い。
「わかった!夏音、とうとう紘の問題が解けなくなったんでしょ?それで落ち込んでるんだ」
「違うよ!今日は解く時間がなかったの!」
落ち込んでいても、その言葉は耳に入ったらしい。
夏音はムキになって否定した。
「……こんにちは」
朱里と夏音が言い合いを繰り広げていたら、副部長の松井すみれが入ってきた。