ツインテールの魔法
部屋に入る途中、空奈は夏音に気付いた。
「お!夏音ちゃん可愛くなったね!さすが、私が鍛えただけある」
空奈は蒼羽の肩を叩く。
すると、みるみる夏音が笑顔になっていった。
そして三人は舞台袖に移動する。
「リラがここにいて不服そうにした人はいなかった。演技してたなら話は変わるけど……それでもリラが平気な顔してここにいたら、一瞬でも嫌な顔をすると思う。でも、そんな人は見つけられなかった。だから、多分だけど、あれの送り主はファンだと思う」
その途中、夏音は小さな声で話した。
空奈は隣にいるため、聞き取ることが出来た。
「客席に気をつければいいのね?」
「ううん。リラは歌に集中して大丈夫。上手に紘くん、下手にノンと蒼羽くんがいる。ノンたちが見張るよ」
夏音の見せる表情はとても頼もしかった。
舞台袖に着くと、空奈は夏音の頭に手を置く。
「わかった。任せるよ、夏音ちゃん」
「うん」
そしてギターを持ち、空奈はリラとしてステージに立った。
姉が集める歓声に、蒼羽は驚く。
「姉ちゃん、人気なんだ……」
「……だからわからないの。ライバルがリラが邪魔で消そうとしているのか。ファンが自分のモノにしたくて消そうとしてるのか」