ツインテールの魔法

「うるさい!」


全てをかき消す夏音の叫び声は、会場に反響した。

涙が溢れ出す。


「あんたのせいで!パパはママを殺したってことになった!あんたのせいで!」


夏音は涙を拭うことなく、男を睨みつける。

だが、男は薄気味悪い笑みを浮かべた。


「そんなこと……知らない……俺を見つけたのは……紅葉だ……そんな状況になったのは……君が……俺のことを警察に……言わなかったからだ……」


すると、紘と蒼羽が背後から男を取り押さえた。
男は床に全身を打ち付ける。

その反動でナイフが夏音の足元に飛ぶ。
夏音はそのナイフから距離をとるために後退りをする。


「離せ……!俺は……リラを……!」
「殺させないよ」
「人を殺してる時点で悪いのはお前なんだよ」


緊張の糸が切れたのか、夏音はその場に座り込んだ。
空奈が夏音の横に駆け寄り、夏音を抱きしめる。
夏音は空奈の腕の中で声を上げて泣いた。


◆ ◇ ◆


「夏音ちゃん……落ち着いた?」


警察の事情聴取が終わった者から帰っていき、人の少なくなった控え室で、夏音は休んでいた。
付き添っていた紘に、事情聴取が終わった空奈は問いかける。
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