ツインテールの魔法
空奈は自分のスマホを手にすると、紘にスマホを出すよう促した。
「……わかったんですか」
「んー、女の勘?」
連絡先を交換し、空奈はそう言って笑った。
「紘。次だって」
すると、蒼羽が紘を呼びに控え室を覗いた。
それを見て、空奈は紘に耳打ちする。
「ほら、アイツには無理でしょ」
「……わかりませんよ。少しずつ夏音の中にあれが入ってるみたいなんで」
紘はそう言い残して、部屋をあとにした。
「なんの話?」
紘の背中を追いながら、蒼羽は部屋に入る。
「夏音ちゃんの親を殺した犯人が見つかってよかったねって話」
空奈は紘が座っていた椅子に座り、夏音の頭を撫でる。
「……絶対嘘だ」
「へえ?疑うんだ?」
「滅相もない!」
すると、眠っていた夏音が目を覚ました。
空奈は蒼羽を睨み、夏音の体を支える。
「あんたが大声出すから」
「……ごめん」
二人は夏音の様子を伺うよう。
「紘くんは?」
「今警察と話してるよ。行く?」
幼児のように夏音は頷く。
そして空奈に支えられながら歩き始める。
「……ありがとう、夏音ちゃん」
照れ隠しのために、空奈は小声で言った。
だけど、夏音はそれが聞こえていたのか、柔らかい笑顔を空奈に向けた。