ツインテールの魔法

おまけ。


「納得出来ない!」


振替休日が終わって、登校中に二人は蒼羽と出会った。
蒼羽は肩のあたりで切りそろえられた夏音の髪を見るやいなや、理由を問いただした。

そして夏音と紘が付き合ったことを聞いた。


「ノンちゃん、なんで俺じゃないの?」
「んー、紘くんじゃなきゃ、ダメだったから……かな?」


夏音が素直に言うから、蒼羽はなにも言えなくなる。
すると、紘が蒼羽と夏音の距離をとるように、夏音を引っ張る。


「あまり夏音にかっこいいこと言わせるなよ」


蒼羽はそう言う紘を見て、声を出して笑う。


「紘、ダッサ」
「紘くんはかっこいいよ」


紘に抱きしめられたまま、夏音は恥ずかしげもなく言った。


「……俺のメンタルもつかな」
「今のは都築くんが自分で言って、自分で傷付いたのよ」
「うーちゃん!おはよ!」


麗の姿を見た瞬間、夏音は紘の腕からすり抜けた。


「ノンちゃんの中で認識は変わってなかったりして」
「……別に、構わない」
「じゃ、俺は頑張ってノンちゃんを奪えばいいのか」


そう自分で納得している蒼羽を見て、紘は鼻で笑った。


「お前には無理」
「なんでだよ!わかんないだろ!」


蒼羽の叫び声も無視し、紘は一人で校舎に入っていく。


「蒼羽くん、遅刻するよ?」


そして夏音と麗も蒼羽を置いていく。


「くそ……二人ともおめでとう!」


後ろから聞こえてきた声に、夏音と麗は顔を見合わせて笑い、紘も笑みを浮かべていた。





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