ツインテールの魔法
◆ ◇ ◆
一昨日の夜七時ごろ。
日野は、忘れ物に気付き学校に戻ってきた。
当然のことながら、校内は真っ暗で、静まり返っている。
霊的なものが出そうな雰囲気だが、そのようなものを信じていない日野は、真っ直ぐ職員室に向かう。
職員室に入ると、すぐ隣にある印刷室からガタン、と音がした。
「誰かいるのか?」
声をかけるが、返事はない。
恐怖は覚えなかったが、不審に思い、印刷室に近付く。
ドアは開いていて、あと少しで中に入れるというとき。
日野は誰かに体当たりをされ、バランスを崩した。
逃げていった人影は、暗かったせいで誰かを判別することは難しかった。
中でなにをしていたのか気になり、印刷室の電気をつけた。
印刷機の上に半分で折られた紙が置いてある。
さっき飛び出した人の忘れ物かと思い、手に取って見た。
それは、一年の英語の問題用紙だった。
日野は急いで印刷機の蓋を開けた。
予想通り、問題用紙が残されていた。
ほかに異変がないか、職員室を見て回る。
特に目立ったことはなかったため、その二つが盗まれたと判断した。
このことは、翌朝職員会議で報告した。
夏音に協力を申し出たのは、日野の独断らしい。
もちろん、ほかの教師も賛成も得て、夏音たちに説明した。