ツインテールの魔法
◇ ◆ ◇
職員室を出ても、紘は手を離さなかった。
そのまま夏音の手を引いて、無人の廊下を歩く。
「……先生は、蒼羽くんが犯人だっていう、証拠を探せって言いたいのかな」
足を止めたことにより、紘も立ち止まる。
振り向くと、夏音は泣きそうに笑っている。
紘は両手で夏音の頬を挟む。
「夏音が、都築の無実を証明するんだろ?」
「ノンにできるかな……」
普段の夏音から想像出来ないほど、弱気だった。
夏音は目を伏せる。
「大丈夫。このために、今までたくさん問題を解いてきただろ。それに、俺だっている。夏音は一人じゃない」
夏音は躊躇いながら頷いた。
部室には朱里もすみれもいなかった。
二人はそのまま帰らず、日野の話をまとめることにした。
「なにかわかったことはあったか?」
「んー……気になることならあったよ」
紘は念のためと、ノートにペンを走らせる。
「犯人はどうして、問題用紙をコピーしようとしたのかな。盗むなら、わざわざ音が出るようなこと、時間がかかるようなことしないよね」
紘は夏音の意見に頷くが、その言葉の中で引っかかるものがあった。
「コピーしていないってことか?」