ツインテールの魔法

「先生はガタンって音がしたって言った。もしコピーしてたなら、機械の音がするよね」
「たしかに」


紘は相槌を打つ。


「……ねえ、紘くん」


夏音に呼ばれ、顔を上げた。
夏音は紘の手元を見つめている。


「一年のテスト、盗まれてない」


結論のはずなのに、弱々しい声だった。
夏音はそれよりも言いたいことがあるらしい。


「……そうだな、言い切るには証拠がない」


それを感じ取った紘は、そう続けて視線をノートに戻した。
夏音は机に突っ伏す。


「もっと詳しく知りたい……」


その願いを叶えることができないため、紘は聞き流すことにした。
少しの間、紘が字を書く音だけが室内に響いた。


「……そっか。りそうだ」
「は?」


自信のある仮説が立てられたのか、上げられた顔は晴れていた。
だが、夏音の言っている意味がわからない紘は、唖然とする。


「りそうえさく!」
「……偽装工作」
「そう、それ!」


的を得ているようで、的外れな発言に、紘は少し安心した。


「紘くんが作った問題と同じだね」
「……なにを隠そうとしたのか、わかるのか?」


夏音はわざとらしく腕を組んで首を傾げる。


「紘くんのは殴っちゃったから、殺した。テストのほうは……なんだろう」
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