ツインテールの魔法
「紘くん、少しはその賢い頭を使お?ノンにわかって、紘くんにわからないことはないでしょ?」
紘は右手で作った拳を、夏音の頭に置いた。
「買いかぶりすぎ」
「かい……?」
夏音の反応に、紘は鼻で笑った。
そして立ち上がった。
「あれ、もう帰っちゃう?」
「朱里センパイ!……は、今来たの?」
開けられたドアの向こうには、少し疲れた顔をした朱里が立っていた。
「受験のことで、ちょっとね」
「ほわあ……大変だ」
「ふふふ。二年後、夏音もこの苦しみを味わうのよ」
「いーやー」
夏音は両手で耳を塞ぐ。
そんなやり取りを見ながら、紘は部室を出ようとする。
「待ってよ、紘くん!ノンも帰る!」
夏音は床に置いていた鞄を取り、紘を追いかける。
「朱里センパイ、またね!」
夏音は朱里の返事を待たず、ドアを閉めた。
一人残された朱里は、机に残されたノートを見る。
「コピー機……一年のテスト……全校生徒容疑者……?これ……」
すると、勢いよくドアが開けられた。
「紘くん、遅かった!ごめん!」
開けたのは夏音だった。
ノートを忘れたことに気付き、慌てて戻ってきたらしい。
夏音は後ろに立つ紘にはっきり謝った。