ツインテールの魔法
「ねえ、これなに?」
「えっとね、それは……!?」
紘は朱里に説明しようとする夏音の口を、後ろから塞いだ。
そして耳に息を吹きかける。
「ふぁ!?な、なにするの、紘くん!」
夏音は紘から逃げようとするが、紘の力が強くて逃げられない。
「……姉弟でイチャイチャしないでよ」
朱里はそんな二人から目を背ける。
「い!?してないよ!?」
「はいはい。これも新しい問題のヒントかなんかなんでしょ?」
朱里は夏音にノートを渡すと、呆れて帰っていった。
「朱里センパイ、なにしに来たんだろうね」
「さあな。このノートの内容も、幸い作った問題のヒントと思ってくれたみたいだし、まあいいだろ」
紘は夏音から手を離し、昇降口に向かう。
夏音は小走りで紘の背中を追った。
「ねえ、紘くん!さっきなんで耳にふってやったの!?」
「このことは誰にも知られたらいけない。そう言っただろ?」
紘の横を歩く夏音は、ノートを大事そうに抱え、頷く。
「あそこで耳打ちして、聞かれたら困るから」
「だからって!」
「あと、ノートの内容聞かれて、言おうとしただろ。その罰だ」
夏音は返す言葉が出てこなかった。
そして二人も学校を出た。