ツインテールの魔法
3
あれから一週間が経った。
週明けから期末試験が始まるが、あの日印刷室にいた人はまだ見つかっていなかった。
しかし、夏音は教師側にあることをお願いした。
全学年の問題を作り直して欲しい、と。
初めは渋る者もいたが、理由を聞いてその話をのんだ。
もちろん、夏音は力の限り捜索を続けた。
それでも見つからなかったのだ。
「ノンの力不足でごめんね、あずちゃん」
金曜日の放課後、夏音は小豆のもとを訪ねていた。
そこに紘の姿はない。
夏音は職員室前の廊下で、足を抱えて座り混んでいる。
「気にしないで。こっちこそ、ノンちゃん一人に任せちゃってごめんね」
小豆は夏音の手に、自分の手を重ねた。
「紘くんがいたから……」
「そういえば、その紘くんはどこに?」
「校内見回りしてもらってる」
夏音はそう言いながら、鼻をすすった。
「見回り?どうして?」
「……ヒミツ」
そしてその場に立ち上がった。
「犯人は、テストの結果が出たらわかるよ」
「どうして言いきれるの?今さっき、力不足でって」
小豆は座ったまま、夏音を見上げる。
「犯人は一年のテストが作り直されたとしか思ってないはず。だとしたら、盗んだテストを頼りに勉強するでしょ?そうなると、問題は変わってるわけで、成績が下がる」