ツインテールの魔法
「また間違えちゃった」
笑っている夏音から、反省の色は見えない。
愛嬌のある夏音と、知的でクールな紘。
桃城姉弟は多くの生徒からの人気を集めている。
そんな二人と、あまりよく思われていない蒼羽。
誰がどう見ても、不思議な組み合わせだ。
ここで三人が幼なじみとなれば話は別だが、夏音たちと蒼羽は高校からの付き合いだ。
数ヶ月しか共に過ごしていない。
その中で、蒼羽は夏音をからかうことに楽しさを覚えた。
もともとイタズラや人をからかうことが好きで、それは人を選ばなかった。
さすがに、反応がいい奴しかやらなかったが。
夏音は今までの誰よりも、いい反応をしてくれた。
だから、蒼羽は自分が楽しむために、夏音たちといる。
「……紘って、シスコン?」
すると、冷たい視線が一斉に蒼羽に集中した。
近くにいた女子にも、睨まれたのだ。
「紘くんは夏音ちゃんのお世話をしてるの!」
「優しいだけで、シスコンじゃない!」
「……みんな、ノンのことバカにしてる?」
さすがの夏音でも分かったらしい。
夏音がそう言うと、蒼羽に攻撃してきた女子は、夏音を抱きしめる。
「まさか」
「夏音ちゃんは可愛いってことだから」
夏音はキョトンとした後、照れ気味に笑った。