ツインテールの魔法
その言い分には、納得するしかなかった。
小豆は立ち上がり、夏音を抱きしめる。
「ありがとう、ノンちゃん」
「ノン、まだなにもしてないよ?」
あの日の夏音を見た小豆は、夏音が無理して今調査していると思った。
だから、お礼と謝罪を言わなければ、と考えたのだ。
小豆は夏音を抱きしめる力を強める。
すると、小豆の頭が軽く叩かれた。
「こんなところでなにしたてるんです、先生」
「紘くんだ!」
小豆を叩いたのは紘で、小豆は夏音を離した。
夏音が紘に駆け寄ると、紘は夏音の頭に手を置いた。
「紘くん……そんなに大好きなお姉ちゃんを独占されるのが嫌だった?」
そんな紘をからかうように言った。
紘は小豆を睨む。
「ふざけたこと言わないでよ、小豆姉」
紘はしまったというように、口を塞いだ。
夏音と小豆は顔を見合わせて笑う。
「久々に紘くんに小豆姉って呼ばれちゃった」
「紘くん、あずちゃんが先生になったからって、無理してたんだよ」
「そんなわけないだろ。早く帰るぞ」
一秒でも早くこの場から逃げたかった紘は、夏音の手を引っ張った。
「紘くん、ノン、一人で歩けるよ」
そんな夏音の言葉を無視し、紘は歩き進める。