ツインテールの魔法

◆ ◇ ◆


週が明け、期末試験初日。


「ねえ、ノンちゃん」


朝のホームルームが終わると、蒼羽が夏音の前の席に座った。
試験ということで席が出席番号順になり、二人の席は離れてしまった。


「俺、テスト受けても大丈夫?」


蒼羽はそれが気がかりとなり、昨晩はなかなか眠りにつけなかった。
その証拠に、目の下にクマを作っている。


「うん、大丈夫だよ。蒼羽くんが犯人じゃないってことは証明されたから」


すると、蒼羽の顔は少し明るくなった。


「じゃあ、もう犯人わかったんだ?」
「ううん、それはまだわかってない。でも、テストの結果が出たら嫌でもわかるよ」


そう言う夏音の顔は、いつも夏音にいたずらを仕掛けるときの蒼羽の顔のようだった。

蒼羽がそう言い切る理由を聞こうとすると、最初の試験の監督をする日野が教室に入ってきた。


「荷物は全部廊下に出せよー」


蒼羽は質問を飲み込み、自分の席に戻った。
そして荷物をまとめ、廊下に行こうとしたとき、日野と目があった。


「悪かった」


ただその一言だった。
しかし、日野からそのような言葉が出てくると思っていなかった蒼羽は、日野の顔を見た。


「なんだよ。俺が一方的に悪いことをしたんだ。謝るのは当然だろう」
「いや、そうなんだけど……」
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