ツインテールの魔法
◇ ◆ ◇
乱暴にポケットに手を突っ込む。
たくさんの折り目がついた紙切れを取り出し、改めて目を通す。
『A講義室』
机の中に入っていたメモ用紙。
場所指定だけで用件もなにも書かれていないが、要件はだいたい想像できた。
またポケットに戻し、目的地に向かう。
もといた教室からA講義室まではそう遠くない。
すぐにそこに着き、閉められたドアに手をかける。
開けると、部屋には三人の女子生徒がいた。
三人はドア付近に立つ朱里を睨む。
「やっと来た」
「私たちから逃げられるとでも思った?」
三人はクスクスと嘲笑する。
朱里は重い足取りで移動した。
「さて、委員長。説明してもらえる?」
「理由によっては……わかってるよね?」
「なに、言えないの?」
朱里はどんどん口を閉じていく。
いや、開けなかった。
なにを言ったとしても、火に油を注ぐ形になるとしか思えなかった。
だが、そう長く黙り続けられない。
朱里は俯いたまま、話し始める。
「私は……ちゃんと言われた通りにした……でも」
すると、机が動く音がした。
嫌な予感がして、顔を上げる。
「バカにするのもいい加減にしてよ!」