ツインテールの魔法
「先生、朱里センパイにも理由があるの。あまり責めないで」
夏音は朱里を庇うように、前に立った。
予想外の言葉に、朱里は目を見開いた。
夏音は全てわかっているのだ、と思った。
蒼羽のことで夏音に強く言えなくなったのか、日野は言葉を飲み込んだ。
「いいの、夏音。悪いことをしたのは事実だから」
しかし朱里は夏音の肩に手を置き、そう言った。
「あ、あの!」
すると、すみれが全てを遮るかのように、大声を出した。
予想外な人の大声に、みんなすみれに注目する。
そこまで注目されると思っていなかったすみれは、みんなの視線から逃げるように、自分の足を見た。
「朱里ちゃんは、本当に悪くないんです……だから……」
すみれはなにかに怯えているようだった。
夏音は震えているすみれの手を握る。
すると夏音にすがるように、すみれは夏音の肩に額を当て、目を閉じた。
「先生、朱里センパイはどうなるの?」
「橘だけじゃない。お前たち三人も、今回の試験は得点なしだ。あと、一週間自宅謹慎」
日野に言われ、全員職員室を出た。
三人は怒っているようだったが、なにも言わずに帰って行った。