ツインテールの魔法
「違うのか?」
「んー……すみれセンパイが囲まれてたのは、朱里センパイのことで話してたんじゃないかな」
紘はまだ理解出来ず、首を傾げた。
「朱里センパイはすみれセンパイがいじめられてることを知って、助けた。そしたら、自分がいじめのターゲットになった。だから、すみれセンパイはいじめっ子たちに話してた。紘くんはそこを見かけたんだよ」
朱里とすみれは気まずそうに視線を落とす。
「朱里センパイは正義感強いし……テスト盗むのだって断ろうとしたんだよね?でも、そうしたらまたすみれセンパイがいじめられると思った。だから、従うしかなかった」
ここまで話を聞いても、朱里とすみれは否定しなかった。
その沈黙が肯定だと思い、夏音は続ける。
「さっき、朱里センパイがすみれセンパイを手伝ったって聞いて、すみれセンパイが犯人じゃないってわかった」
その言葉に、すみれはハッとする。
「だからあのとき、私が朱里ちゃんを手伝ったのかって聞いたの?」
「うん。教室であの人たちが怒ってるのを聞いて、盗まれた科目の試験が今日だったってすぐにわかった。だから、すみれセンパイはあの人たちから逃げたんだと思ったの」