ツインテールの魔法
4
◆ ◇ ◆
「ひーろーくーんー!」
事件解決からちょうど一週間が経った日の昼休み、廊下に夏音の叫び声が廊下に響いた。
生徒がたくさんいるはずなのに、教室にいる紘の耳にしっかりと聞こえてきた。
「紘くん!」
教室に来るなり、夏音は紘の前に立つ。
「ノン、今日返されたの全部赤字でした!」
「赤点な」
紘は夏音が握っていた答案用紙を見る。
数学A七点、古典十点、生物基礎三点、英語表現十二点。
紘は頭を抱えた。
「俺、対策ノート渡したよな?」
「えっとね、違うこと考えてた!」
深いため息をつく。
「だってね、ノン、紘くんが作ってくれた問題、まだ解いてないことに気付いてね、解かなきゃって思って」
紘が怒っていると思ったのか、夏音は言い訳を懸命に説明する。
「テストのほうが大事なんだよ」
「……ノン、もっと出来ると思った」
「俺も思ってた」
紘は冷たく返し、夏音の答案用紙を眺めた。
「ノーンちゃん」
すると、誰かが後ろから夏音を抱きしめた。
「蒼羽くん!どうしたの?」
「んー?ノンちゃんを独占しに来たー」
蒼羽の行動に引いたのか、紘は軽蔑の目を向けた。