ツインテールの魔法
「なんだよ、紘。お姉ちゃんが取られるの、そんなに嫌か?」
からかいの意味で、夏音を抱きしめたまま言った。
すると紘は立ち上がり、夏音の腕を引っ張った。
「ああ、お前なんかには渡せない」
いつもと違う反応に、蒼羽は戸惑う。
「……双子でそれって」
「あのね、蒼羽くん。ノンと紘くん、双子じゃないよ」
まさかの発言に、蒼羽だけでなくその場にいた全員が驚いた。
「嘘だ!」
「嘘じゃないよ。ね、紘くん」
「……まあ」
紘は夏音から手を離す。
「え……じゃあ……お前らどういう関係……?」
「ノン、お姉ちゃん!」
夏音ははっきりと、嬉しそうに言った。
蒼羽は紘に道場の視線を送る。
「紘、意識されてないじゃん」
「都築ほどじゃない」
「俺、ノンちゃんに好きって言われたし」
「どうせ違う意味だろ」
図星で、蒼羽は言い返せなくなった。
「ノンちゃん!俺と紘、どっちが好き?」
これ以上紘と口論したところで勝てるとは思えなくなった蒼羽は、ムキになって夏音にそう尋ねた。
「え?紘くん」
即答だった。
蒼羽はその場に崩れる。
「蒼羽くん?」
質問の意図はもちろん、蒼羽の行動理由もわからず、夏音は蒼羽の顔を覗き込むようにしゃがんだ。