ツインテールの魔法
紘はいかにも面倒くさそうに顔を顰めた。
「嫌ならセンパイに言うよ?」
「……いや、引き受ける。だから、そんな顔すんな」
紘はそっと優しく、夏音の額に拳を当てた。
◆ ◇ ◆
放課後、ミステリー研究部の部室。
夏音たち三人が中に入ると、朱里とすみれが頭を下げていた。
「三人には、本当に迷惑かけた。ごめんなさい」
「ごめんなさい」
夏音は慌てて二人の顔を起こす。
「特に、蒼羽には本当に悪いことをした」
「俺?なんで?」
今回の事件の犯人をまだ聞いていない蒼羽は、素直にそう言った。
「蒼羽、テストを盗んだって疑われたんでしょ?犯人は、私なのに」
蒼羽は信じられなくて、夏音と紘の顔を見た。
紘は表情を崩さなかったが、夏音は気まずそうに顔をそむけた。
「いや、別に……疑われたのは俺の日頃の行いのせいだし、そこまで先輩が気にすることは……というか、本当に先輩が?」
朱里は暗い顔で頷く。
そして、今回の事件の説明をした。
「なるほど……」
全てを聞いた蒼羽は、どこか納得しているようだった。
「にしても、よくコピー機の偽装工作、思いつきましたね。先輩もしかして、今回が初めてじゃなかったり?」