ツインテールの魔法
「みんなノンのこと可愛いって言う!ねえ、紘くん、なんでかなあ?」
立て続けに同じことを言われ、不思議に思ったらしい。
夏音はその疑問を紘に投げた。
「夏音が可愛いからだろ」
そう言う紘の目は、死んでいた。
早くこの場から解放されたいというオーラが出ている。
そのとき、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。
「教室戻らなきゃ!」
夏音は結った髪を揺らしながら、廊下を走って教室に向かった。
蒼羽も戻ろうとすると、紘が腕を掴んだ。
「夏音に渡しといて」
持たされたのは、一冊のノート。
蒼羽と夏音は同じクラスだから、頼んできたのだ。
そして紘は自分のクラスに行った。
蒼羽はページをめくりながら、廊下を歩く。
書かれていたのは謎解き問題。
夏音はちょっとした謎を解くことが好きで、既存の問題はだいたい解いたらしい。
だから、こうして紘がオリジナル問題を作っては、夏音が解いている。
パッと見たところ、蒼羽には解けない。
あれだけバカをやっているのに、夏音はこの難しい謎を簡単に解くのだから、驚かないわけがない。
教室に入ってすぐ、夏音にノートを渡した。