ツインテールの魔法

「なんで……」


結衣花が走っていったほうを見つめ、少年は呟いた。

そんな少年をじっと見つめる。


「君、いつも結衣花ちゃんのことからかってるでしょ」
「は!?てか、あんた誰だよ!」


少年はわかりやすく動揺した。
夏音は立ち上がり、短パンに付いた砂を払う。


「結衣花ちゃんのいとこの友達だよ」
「完全に他人じゃん!勝手なこと言うなよ!」


少年はそう言うが、夏音はそれこそ全てを見透かすように微笑んだ。


「君はさっきの結衣花ちゃんの反応に戸惑った。いつもと違ったからでしょ?」


少年は言葉を詰まらせる。
夏音は少年に視線を合わせると、頭に手を置いた。


「可哀想なんて言葉、使わないでね」


少年は夏音の手を払いのけると、結衣花と同じ方向に走った。
少し行ったところで、振り返った。


「バーカ!」


そして再び走り出した。

夏音はまた、砂浜に座る。


「今日はよくバカって言われるなあ……」


寂しそうに呟くと、靴を脱いだ。


◆ ◇ ◆


結衣花が海の家に戻ると、いつもの倍近い人で見さが賑わっていた。


「……なにこれ」
「あ、結衣花!いいとこに戻ってきた!早く手伝って!」
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