ツインテールの魔法
紘は乱暴に結衣花の前に座った。
一瞬驚きはしたものの、結衣花は冷たい目で紘を見た。
「なんで可哀想な奴って言われたんだ?」
結衣花は目を見開いた。
「……バカが、なぜか聞けって?」
「俺が気になっただけだ。お前と夏音はどこか似てるしな」
「あんなやつと一緒にしないで。あんな、苦しみも知らないような能天気と……」
結衣花は口を閉じた。
紘からの殺気を感じたからだ。
今までの睨みが優しかったと思うほど、怖かった。
背筋が凍った。
「結衣花ちゃん、ノン、そんなにのーてんきに見える?」
イチゴシロップのかかったかき氷を持って、夏音が立っていた。
夏音は嬉しそうに一口分をスプーンですくい、口に含んだ。
「紘くん、怒らなくていいよ。いいことなんだから」
結衣花はなにを言っているのかわからなかった。
「……能天気に見られて、なんで嬉しそうなの」
すると、夏音は困ったように笑顔を浮かべた。
「ノン、そう見られるように頑張ってるもん」
「は……?」
ますます意味がわからなかった。
しかし夏音はそれ以上説明せず、紘の隣に座った。
「紘くん、ここのかき氷美味しいよ。はい、あーん」