ツインテールの魔法
結衣花はむせた。
夏音は慌てて水を差し出すと、結衣花はそれを受け取り喉に通した。
「な、なにを」
「結衣花ちゃんって、お父さんっ子なんだね。お父さんにかまって欲しくて、今日も嘘ついたんだよね?自分が体調悪いってなると、お店休んでくれると思ったから」
「……適当なこと、言わないで」
そう言う結衣花は、どこか動揺しているようだった。
夏音はかき氷を食べ進める。
「体調悪くて休んでた子が、急に働き者になるかな」
「それだけで……?」
「んー、んー!」
すると、夏音は急に紘の肩を叩いた。
頭がキーンとしたのだ。
「はあ……かき氷って美味しいけど、頭痛くなるのは嫌だね」
そう言いながら、またかき氷を食べた。
「あの、私の話……」
「なんでわかったか、だっけ?」
夏音は頭痛と葛藤しながらかき氷を食べ続ける。
「結衣花ちゃんがお店の手伝いをしてたのも、玲二さんに見てほしかったからだよね。素直に玲二さんを手伝うだけのいい子ちゃんなら、少しくらい体調が悪くても手伝うでしょ?」
結衣花は口を噤んだ。
その無言を肯定と捉えた夏音は、話を続ける。
「結衣花ちゃんは自分が大切にされてないんじゃないかって思った。あの男の子に可哀想な奴って言わ」