ツインテールの魔法
蒼羽の発言に、夏音は首を傾げる。
すると、五時限目が始まった。
科目は世界史で、雑談の多い日野が担当だ。
いつものように雑談が始まると、夏音は教科書の下に忍ばせていたノートを開く。
どれだけ時間を費やしても、わからない。
まだ十数分しか経っていないとしても、答えが見つかる気がしない。
そもそも、問題文やイラストからヒントが見つけられない。
作られていた問題は、殺人事件。
死因や殺害された時刻、容疑者に被害者との関係が説明された上で、殺害状況の絵が描かれている。
死因は撲殺。
頭を殴られたらしい。
それはイラストでも描かれていて、被害者の傍に血のついたトロフィーが落ちている。
殺害時刻は午後六時二十三分。
これは、被害者の腕時計が壊れていて、止まっていた時間だ。
容疑者は三人で、女A、男B、女C。
Aは被害者の妹、これといった動機はないが、第一発見者。
Bは被害者の元カレ、動機は恋愛のもつれ、アリバイはなし。
Cは被害者の親友、動機は金銭問題、アリバイはなし。
現場はおそらく被害者の自宅。
うつ伏せになっていることから、背後から襲われたと考えられる。
一通り見てわかったのはこれくらいだ。