ツインテールの魔法
「都築、夏音を探してきてくれ」
「え、いいの?」
「俺はこいつに話がある」
蒼羽は少し嬉しそうに、夏音を探しに行った。
結衣花と紘はしばらく睨み合っていたが、紘が先に座った。
「お前も座れ」
「……なんで」
「いいから」
結衣花は言われるがままに座った。
「……黙って聞いてろよ」
紘がそう言うも、結衣花はなにも答えなかった。
「夏音は昔、可哀想だと言われ、気を使われていた。親がいなくて可哀想、一人なんだ、と」
紘の言うことが信じられなくて、結衣花は紘の顔を見た。
しかし、紘は淡々と話を続ける。
「でも、夏音は自分を可哀想だと、一人だと思っていなかった。……俺がいたから」
「双子なら当然じゃ……」
黙って聞いていろと言われたにもかかわらず、結衣花は口を挟んだ。
しかし、紘はそこではなく結衣花が夏音とは双子であると思っていたことに驚いた。
「どうして双子って」
「あおくんの紹介、聞こえたから。あんたの苗字言わなかったから、そうかなって」
なるほど、と呟く。
「俺と夏音は本当の双子じゃない」
「違うの?」
「ああ。まあそこは話すと長くなるから、今は置いておく」
一番気になるところを説明されず、結衣花は不満げな表情を浮かべたが、紘は気にしなかった。