ツインテールの魔法
顔を上げた結衣花は、涙を流していた。
「でもいいの。……私、一生懸命働いてるお父さんが好きだから」
子供らしかったはずの表情が、一瞬にして大人びた。
すると、いつの間にか後ろに立っていた玲二が結衣花を抱きしめた。
「え、お父さん!?もしかして聞いて……」
結衣花は顔を赤くするが、玲二は離そうとしない。
「ごめん、結衣花。ごめん……ありがとう」
それを見た紘は、立ち上がった。
「ちょ、どこに」
今二人にしてほしくないと思った結衣花は、咄嗟に紘を引き止めた。
「俺は邪魔だろ。それに……都築のアホが帰ってくるのが遅すぎるから」
紘はそう言い捨てて、席を離れた。
「……お父さん、とりあえず離して」
玲二は結衣花から離れると、隣の机の席に座った。
「お前は俺と遊びたかったのかあ……でもさ、やっぱり海の家始めてよかったと思ってる。冬は遊べるしさ」
「でも、前よりお金なくなったよね」
玲二は苦笑するしかなかった。
「……そうだ、結衣花。夏音ちゃんが言ってた、仮病のことなんだけど」
「それはもういいよ……」
自分がしたことが恥ずかしいのか、結衣花はそっぽを向いた。