ツインテールの魔法

「あの人が言った通りだし、ちょっと賭けてみただけだから」


結衣花はそれ以上触れないで、と遠回しに言った。

しかし、玲二はそれを汲み取らず、結衣花を見つめた。


「俺、結衣花のほうが大切だからな」
「……店、休まなかったくせに」
「それは、お前が寝てれば大丈夫って言うから……」


結衣花は自分の性格を恨んだ。
もっと素直に甘えていればよかったと思った。


「それに、あまり過保護にされても嫌だったろ?仮病だったならなおさら」
「……それはそうだけど」


結衣花は玲二を見た。
満面の笑みだった。
結衣花が嘘をついたことなど、一ミリも怒っていない様子だ。


「結衣……」
「ノンちゃん戻ってない!?」


玲二が結衣花を呼ぶ声に被って、蒼羽が慌てて帰ってきた。
結衣花に向けて伸ばした玲二の手は、行き場を失う。


「いや……いないけど……」


玲二は驚きながらも、返事をした。

蒼羽はその場にしゃがみこんで、頭を乱暴に掻いた。


「ノンちゃん、どこにもいないんだ」
「え……紘くんは?」
「紘?見てないけど」


玲二と結衣花は顔を合わせた。
そして玲二が蒼羽のそばにしゃがむ。


「紘くんが蒼羽くんたちが遅いからって、探しに行ったはずなんだけど……」
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