ツインテールの魔法
「そういえばあの客寄せパンダ、あおくんが遅い、しか言わなかったような……だから、探しに行ったのはあおくんだけなんじゃ……」
結衣花がそう言うと、蒼羽と玲二は結衣花を見た。
「結衣花ちゃん、すごい!探偵さんになれるんじゃない?」
すると、店の奥から夏音が現れた。
「ノンちゃん!?」
蒼羽は玲二のことなど気にせず、立ち上がる。
玲二は驚き、尻もちをつく。
「おじさん、ごめん!」
蒼羽は簡単に言うと、夏音のところに駆け寄った。
「ずっとそこにいたの?」
「うん。紘くんにはバレてたけど」
夏音はいたずらがバレた子供のように笑った。
「だからあいつ、俺に行けって言ったのか……性格悪いなあ」
「お前ほどじゃない」
タイミングよく帰ってきた紘が、蒼羽に答えた。
紘は一人の少年の首根っこを掴んでいる。
「えーっと……紘、その子は?」
「店を覗いてたから捕まえた」
「それだけで!?」
すると、結衣花が夏音の背中に隠れた。
少年から一番遠くにいたから、という理由で嫌いな夏音のところに行ったのだ。
「なんで水原が……」
「あのいじめっ子くん、水原って言うんだ」
そう言って、夏音は後ろに隠れる結衣花に微笑んだ。