ツインテールの魔法
◆ ◇ ◆
店に残った紘、蒼羽、少年が席を囲むも、誰も口を開こうとしない。
「君、名前は?」
「……水原翔貴」
翔貴は不服そうに蒼羽の質問に答えた。
翔貴の前には、蒼羽が紘に出したものと同じみぞれが置かれている。
これは、玲二から出されたものだ。
玲二は夏音の言葉を聞き、大人げないもてなしをした。
「翔貴、結衣花のこと好きなんだろ」
「は、はあ!?変なこと言うなよ!」
蒼羽の言葉を否定するが、顔が赤く、説得力がなかった。
「そんな君にいいことを教えよう」
蒼羽はわざとらしく咳払いをした。
「本当に好きなら、すぐにいじめをやめろ。気持ちを伝えたとき、全然信じてもらえないから」
「だから、俺は……!」
「いいからいいから。これは経験者からの教え。頭に置いといて損はないって」
「だから、違うって言ってんだろ!」
翔貴が否定すると同時に、大きく音を立ててコップが置かれた。
額に血管を浮かべた玲二が、紘に水を持ってきたのだが、接客態度の悪い店員が完成していた。
「店内ではお静かに」
「そこまで怒ることないじゃん、おじさん。たしかに翔貴が結衣花をいじめてたことは悪いけどさ、恋愛事情に口挟んじゃダメでしょ」