ツインテールの魔法
「私、お父さんしかいないけど、可哀想じゃないよ」
「……悪かったよ」
こうして、翔貴と結衣花は仲直りをした。
「ところであおくん。水原になに言ったの?」
夏音に余計なこと、としか聞いていなかった結衣花は、純粋に気になり、尋ねた。
すると、蒼羽は結衣花から目を逸らした。
「いやー……なにも?」
「嘘はダメだよ、蒼羽くん」
夏音にも言われ、蒼羽は逃げ道がなくなった。
「じゃ、じゃあ、ノンちゃん当ててみてよ。俺がなに言ったか」
結衣花の質問が、夏音の一言から生まれたと知らない蒼羽は、夏音にけしかけた。
「結衣花ちゃんのこと好きなら、いじめちゃダメって言ったんでしょ?」
言葉が出てこなかった。
即答されたことは当然のことながら、夏音の思考回路で恋愛方面にたどり着くことに驚いた。
「ノンちゃん……好きとかわかるんだ」
「……ノンのこと、バカにしすぎだよ」
「いやだって、俺の告……」
すると、紘が蒼羽の口を塞いだ。
蒼羽は理解出来ず、抵抗もなにもしなかった。
目線だけを夏音に向ける。
夏音は悲しそうに俯いている。
「ノンちゃん……?」
蒼羽に呼ばれて夏音は顔を上げた。