ツインテールの魔法
◆ ◇ ◆
すっかり日が暮れてから、夏音と結衣花は戻ってきた。
「海楽しかったー!」
夏音と結衣花は水の掛け合いでもしたのか、足だけではなく全身が濡れていた。
玲二はバスタオルを二枚持ってきて、二人に渡す。
「ノンちゃん、今度は水着着て遊ぼうね」
「うん!……あ、やっぱ無理だ」
結衣花の誘いに満面の笑みで答えたと思えば、夏音はそう言った。
「どうして?」
「んー……ノン、体に傷あるから……」
それを聞いて、全員言葉を失う。
だが、結衣花だけは違った。
「泳げないわけじゃないなら、大丈夫じゃん!今は服みたいな水着もあるし!」
結衣花の提案のような発言に、夏音は戸惑うと同時に喜びを覚えた。
夏音がなにも返さないことに、自分が間違えたことを言ったような気になった。
結衣花はおずおずと夏音を見る。
「……もしかして、隠れない場所にある?」
「ううん。……そっか、そうだよね。じゃあ結衣花ちゃん、今度一緒に水着買いに行こ!」
「うん!」
それは接客用ではない、あどけない笑顔だった。
そして、結衣花と玲二と別れた三人は、電車に乗った。
「あれ、ノンちゃん寝っちゃった?」
最寄り駅に着くまでに夏音は疲れて眠ってしまい、紘の肩に頭を乗せている。