ツインテールの魔法
謎めいた転校生
1
夏休みが終わろうとするある日、ミステリー研究部室に紘、夏音、蒼羽は集まっていた。
「ノンはステージで発表がいい!暗号解き大会したい!」
「展示で十分」
九月中旬に行われる文化祭の話し合いをするために集まったのだが、夏音と紘の意見が合わず、話が進んでいなかった。
すると、ノックの音がした。
嫌な空気から逃げたかった蒼羽が、一番に席を立った。
「島田先生?どうしてここに?」
「ノンちゃんにちょっとね」
小豆は部屋を覗き込んだ。
紘と夏音は変わらず反発している。
「ノンちゃん」
小豆に呼ばれ、夏音の表情は一変した。
「あずちゃんだ!どうしたの?」
「ノンちゃん、ミステリー小説読まない?」
夏音は小さく首を傾げた。
「文芸部の子がミステリー小説を書いたらしくて、アドバイスがほしいんだって」
「どうしてノン?それにあずちゃん、文芸部の顧問じゃなかったよね?」
小豆はそこまで突っ込まれると思わなくて、苦笑する。
「ミステリーが好きで、詳しい人に読んでもらって、意見がほしいんだって。その子が顧問の先生と職員室で話してて、口挟んじゃったの」
小豆はA4サイズの紙の束を机に置いた。
夏音はそれを手に取ると、早速読み始める。