時のなかの赤い糸
自分が守ってやれれば、と永倉は心のなかで呟くと、苦笑いをしながらため息をはいた。
「永倉さん?」
遥の問いかけに、永倉は顔をあげると満面の笑顔を作った。
「今日、一緒に風呂はいる?」
「な、なに言ってるんですか!!」
遥は顔がボッと赤くなって、永倉を叩くと俯いた。
「あはは。冗談だよ」
永倉は笑いがとまらなくて大笑いした。
「永倉さん――ι」
困ったように遥が永倉を見ると、永倉は遥を商屋の道外れに連れ込んで唇を奪った。
「びっくりした」
遥がクスリと笑うと、永倉も少し笑って、お互いおでこをくっつけた。
「隊長がこんなことしてていいんですか?」
「いいんじゃない?」
永倉はもう一度キスしようとしたが、遥が手で阻止した。
「土方さんと約束しましたよね?
お勤めが終わるまでは我慢ですよ」
遥が言って、永倉は少し笑って「はいはい」と言うと歩いていった。