時のなかの赤い糸
「俺かい?俺は…
ん―――…あっ!王子様」
「に倒される怪獣の間違いでしょ?」
呆れたように遥がため息をはくと、男はニヤリと笑った。
「なら王子は永倉となるか」
永倉、遥はその名前を聞くだけで胸が跳ねた。
「顔あけーぞ?大丈夫か?」
男の顔が近くにあって、思い切り嫌な顔をすると、男は遥にデコピンした。
「さっきから痛い。
女の子にそんなことするとか最低」
おでこを押さえながら睨むと、また男は笑った
「お前、女なんだ?」
「ひつれいなっ」
さっきから歩いてるけど、どこまで続くんだこの家は…
それに変な人もいるし…
「小十郎は忍ってこたぁわかったろ?」
遥は頷いてかえした。
「んで、瞬歩したわけだ。
おめぇさんが来たここはなぁ、新撰組なんかじゃこれねぇ」
「これるよ、強いもん」
「俺よりか?」
「もちろん」
男の言葉はどうも遥の尺にさわって鬱陶しい
「まず遠すぎんだよ」
「どこなの?」
「今は――…鳥取」
(県またいでんじゃん……)
遥は心配そうに下を向いていると男が酒を進めてきた。
「いらないよ…」