時のなかの赤い糸


「俺かい?俺は…
ん―――…あっ!王子様」



「に倒される怪獣の間違いでしょ?」




呆れたように遥がため息をはくと、男はニヤリと笑った。




「なら王子は永倉となるか」



永倉、遥はその名前を聞くだけで胸が跳ねた。




「顔あけーぞ?大丈夫か?」




男の顔が近くにあって、思い切り嫌な顔をすると、男は遥にデコピンした。



「さっきから痛い。
女の子にそんなことするとか最低」


おでこを押さえながら睨むと、また男は笑った



「お前、女なんだ?」

「ひつれいなっ」




さっきから歩いてるけど、どこまで続くんだこの家は…




それに変な人もいるし…




「小十郎は忍ってこたぁわかったろ?」



遥は頷いてかえした。




「んで、瞬歩したわけだ。
おめぇさんが来たここはなぁ、新撰組なんかじゃこれねぇ」



「これるよ、強いもん」



「俺よりか?」



「もちろん」




男の言葉はどうも遥の尺にさわって鬱陶しい



「まず遠すぎんだよ」



「どこなの?」



「今は――…鳥取」




(県またいでんじゃん……)



遥は心配そうに下を向いていると男が酒を進めてきた。




「いらないよ…」




< 119 / 506 >

この作品をシェア

pagetop