時のなかの赤い糸


山崎は気付かぬ間に瞬歩をしていたが、西郷が刀を空に斬ると、山崎がすぐ隣に現れた。




「無駄あがきはよしんしゃいな」




ニヤリと笑う山崎に、ムッとした西郷が山崎に刀を突きつける。




遥は、頭を勢いよく小十郎の鼻に打ち付けると、小十郎は痛さのあまりに遥を離してしまった。




「ごめんっ小十郎くん」




離れたわ言いが、遥の頭のほうも随分と痛みがはしり、暫くクラクラとなっていた。



沖田がそんな遥に近づくと、西郷は山崎に向けていた刀を遥の目の前の畳に突き刺した。




「……っ!?」




「王子さんよぉ、俺と刀あわせしようやんかいな」



………王子さん…って
(言ってもわかんないでしょうが)




新撰組一同は、ポカンと口を開けたまま動かなかった。




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