時のなかの赤い糸
「永倉はんが圧されとる」
山崎はボソッと呟いて、遥の胸を締め付けた。
(永倉さんっ……)
永倉は刀を降り続けているのに、全く力は落ちることを知らなくて、ずっと一定の速度で西郷に斬りかかるが、西郷は全く何ともないようにアクビをした。
「……っ…」
「小十郎。女をつれて行け」
西郷の言い付けを聞いて、小十郎は遥の腕を引っ張った。
「ちょっ…嫌!」
遥が声を上げた時、二人の動きが止まった。
「……まだ終わってねぇだろ?」
永倉がニヤリと笑って、西郷の腕から血が噴き出した。
「……ほぉ…?」
自分から流れる赤黒い血液を見て西郷も一緒になってニヤリと不適な笑みを浮かべた。
「小十郎」
「はい?」