時のなかの赤い糸
「俺から血を見たのは、何年ぶり?」
「え……」
小十郎は遥の腕を手で握る力を少しずつ緩めて間抜けな表情を浮かべた。
「……3年ぶりくらいでしょうか?」
「バカ、ありゃかすり傷だよ」
西郷と小十郎が話してることはよく分からないけど、ただ話を聞いた。
「おらぁ…自分の血を見るとなぁ…どうもムシャクシャするんだよ!!!」
キーン!!!
という刀の音が響いたのは、皆の目で追えるスピードでも無さそうだった。
突如聞こえた鉄音に、遥は体を竦めたが、砂煙とともに現れた永倉の姿を見て目を見開いた。
「…!!?……」
永倉は、西郷の刀を止めるならまだしも、自分の体に切り目を入れられてもなお、西郷の喉に刀を突き刺していた。