時のなかの赤い糸
「おりゃあぁぁあ!!」
急に後ろから斬りかかられた遥は、肘を溝うちにいれると斬りかかってきた男を気絶させた。
「あたしを誰だと思ってるの?」
そう言い残すと、遥は屯所に戻っていった。
屯所は今日も騒がしい。
だけど、永倉の事があってからもう2つの別れを迎えていた。
一つは沖田。
池田屋事件から結核が判明して、もう無理だと判断した医者が江戸に帰した。
もう一つは山南の死。
前から持病を患っていて、最後の最後まで新撰組の事を心配してくれていた。
皆が涙を流して別れを惜しんだ。
でも、それから月日は流れたのだと、遥は皆の笑顔を見て安心した。
一番引きずっているのは遥だけなのかもしれない。遥は少しだけ苦笑を浮かべた。