時のなかの赤い糸
俺を誰だと思ってんだ――――――――
懐かしい言葉が遥の胸をくすぐって、今すぐ飛び付きたいと思うのに
なぜか今目の前にいる永倉が遠い存在に感じてしまったんだ。
「…綾野?」
戦いが終わったのに、永倉と遥の距離は縮まるどころか10メートルも離れていて、声さえ叫ばないと聞こえない。
「……遠くね?」
「………………そ、そうですね」
と、遥が一歩永倉に近付く。
「まだ遠いよ」
「…………うん」
そしてまた一歩。
永倉は小さく苦笑を浮かべて大股で遥に近付いていった。
そして、ギュッと遥を抱き締めた。
そう。こうしたかったんだ。