時のなかの赤い糸
「永倉さん……っ」
ギュッとしがみついて遥は永倉の胸に顔を埋めた。
こうするだけで、見えない距離感も全部なくなっちゃうんだ。
嬉しくって
「うふふ」と遥が笑みを漏らすと永倉はわしゃわしゃと遥の髪を掻き分けた。
「……俺の約束覚えてる?」
遥は優しく永倉を見上げると頷いた。
「覚えてますよ」
永倉はギュッと遥を抱き寄せると耳元で「結婚しよう」と囁いた。
「はい」
微笑みあうとまた抱きあった。
「邪魔して悪いんだけどさぁ、そろそろ江戸にむかわにゃいけんだよ」
土方が笑いを含んだ様子で今だ抱きあう二人に言うと、永倉も遥も顔を赤めてすぐ離れた。