時のなかの赤い糸
遥の瞳が少し潤んだ。
「永倉さん、あたし…側にいたいっ」
遥の悲痛な願いが、永倉の胸に突き刺さった。
自分だって遥を失いたくないと、強く強く抱き締めた。
「……待ってます。未来で」
遥は必死に涙を抑えながら永倉を見つめると、熱い口付けをかわした。
その様子を広間のしょうじを少し開けて辛そうに近藤が見ていた。
10年前の自分と、永倉や遥を見ているとかぶってしまったのだ。
幕府を諦めたりはしない。
また明日からは辛い戦争が始まる。
「ここまで長かったなぁ」
近藤はふっと笑いため息をもらした。