時のなかの赤い糸
【誠の旗に集いし運命】
この戦が終われば、江戸時代が終われば遥は元いた世界に帰らなければならない。
だけど、“未来なんてない”と言えば、そうではないのかもしれない。
行く末のことなんて、分からないものだ。
「永倉さん。愛しています」
「あぁ」
お互い抱き合ったままの永倉と遥は、ゆっくり離れて笑いあった。
時間がないことを、お互いわかっている。
だから、こうして二人でいたいのだ。
いつの間にか、その様子を近藤からして、土方、藤堂、原田、山崎、それに他の隊士たちが二人のことを見ていた。
それに気付いていない二人は、永倉の肩に遥が寄りかかって空に浮かぶ星を眺めていた。
「こうしてゆっくりするのも懐かしいですね、ずっと忙しかったし」
「確かにな。こうゆうのもいいかも」