時のなかの赤い糸
愛していますと
気付けばあの頃と全く同じように、ブレザーを羽織った遥は、涙を流しながら学校の渡り廊下に座り込んでいた。
きっとこの涙は花粉症のせい。
そう言い聞かせ立ち上がると、永倉くんがこちらを見ていた。
前に山崎と未来に戻ったときに出会った彼は、かわらず遥に笑顔を向けていた。
どこか、永倉さんに似ているような
そんな気さえして期待で胸を踊らせていた。
今ではあり得ないあの凄まじい争いがあったからこその未来。
江戸時代がなければ今の時代がないかもしれない。
新撰組がなければ、幕府は支えがなかったのではないだろうか。
彼らが生きたこの事実。
遥は必死に守り抜いた。
―――――ありがとう、お疲れ様――――
また遥の頭にあの声が聞こえて、それ以上はもう何も聞こえて来なかった。
夢なんかじゃないよ。
だって、
小指にほら、赤い糸。