時のなかの赤い糸
ただいま迎えに参ります
「永倉さんっ!」
遥が思わず永倉に抱き着くと、永倉はポカンと目を開けて遥を見下ろした。
「誰?」
――――――――――――――――え?
永倉は苦笑を浮かべながら遥を離すと首を傾げた。
(Σはっ!てっきりあたし、本物の永倉さんだとおもっちゃった)
「ごめんなさいっっ!」
遥は勢いよく頭を下げるとガツンと机に頭をぶつけてしまった。
「いたぁι」
遥がおでこを手のひらで抑えていると、その場にいた3人は、吹き出したように笑いだした。
真っ赤になった遥が「それじゃあ」と、資料室を出ていくと、渡り廊下まで走り出した。
「……恥ずかし…」
ポツリと呟き手すりに腕をおいてため息を吐き出した。
「俺永倉だけど人違いだな。俺は永倉遙」
声に遥が振り向くと、そこには永倉がいた。
とは言っても永倉遙と名乗るほうに。