時のなかの赤い糸
華の江戸
近藤は黙りこくってコクンと頷くと渋々団子をおみつに差し出した。
「ありがとうかっちゃん!」
「いえ、どういたしまして」
モグモグと団子を貪るおみつが、遥の隣に座った。
豪快な人だけど、淡い水色の着物がよく似合っている。
「ねぇ、それはどこの着物なの?あ、名前はなんて言うの?
あたしはね、みつって言うんだ!
知らないだろうけど沖田惣次郎って言う弟がいてね?
惣次郎ってすごい天才剣士なんだよ!」
すごいでしょ!とまるで自分の事のようにおみつは瞳を輝かせた。
(懐かしいな、沖田さん)
遥がやんわりと表情を緩めて笑った。
「綾野 遥です。服は…気にしないで下さい」
「気になるなぁ……まあ、よろしくね!」
パッとおみつの手のひらに遥の手のひらが掬われて握手した。
広い手のひら。
近藤と土方は、二人そろって立ち上がった。
「あの、こちらの人は永倉遙さん」
遥が遙を指差して言うと、遙はペコッと頭を下げた。
「あらやだ!あなたも?ごめんなさい!あたしったらもう。
よろしくね??」
おみつは大袈裟に暴れだす。
面白くって皆で笑った。