時のなかの赤い糸
西郷×永倉×坂元
「またタイムスリップ!」
遥の呆れた声が屯所に響いた。
「はあぁぁぁ……ι」
永倉が中庭で刀に手をかけしゃがんだ。
そう。いつのまにかまたもタイムスリップしていたのだ。
遥はコテンと昼間の屯所の縁側に寝転んだ。
「今度はいつの時代だぁ?」
「芹沢さんの時からここに変わるまでに私の頭の中で
【1864年3月24日】って写りました」
遥の視界に一瞬、そう流れたのだった。
「そっか。ってことは小十郎……」
永倉がしまった。というように口をつぐんだ。
(小十郎くん。懐かしいな)
遥は永倉にニッコリ笑って見せた。
「大丈夫ですよ」
「そっか。悪いな。思い出したよな」
永倉は心配そうに遥を見つめた。
「大丈夫ですったら」
遥は起き上がって永倉から目線を外して天井を見上げた。
新選組が住まわせている八木邸は武家造りのお家なんだそうで、天井が低かった。